WordPress本体はGPLv2以降のライセンスで、利用、調査、改変、再配布の自由が認められています。しかし、WordPressで使う画像・文章・フォント、テーマに同梱された素材、そして「WordPress」という名称や公式ロゴまで、何でも自由に使えるわけではありません。
迷わないコツは、権利を一つにまとめないことです。「プログラムの利用条件」「作品の著作権」「名称やロゴの商標」を別々に確認します。この記事では法律用語を覚えることより、いま使おうとしているものをどこで確認し、公開・改変・配布してよいか判断できることを目標にします。個別案件の法的判断が必要な場合は、権利者や専門家へ確認してください。
最初に結論:自由に使える範囲は対象ごとに違う
| 確認するもの | 主に関係する権利・条件 | 最初に見る場所 |
|---|---|---|
| WordPress本体のプログラム | GPL | WordPress.orgのライセンス |
| テーマ・プラグインのPHPコード | GPLと配布元の案内 | 公式配布ページ、LICENSEファイル |
| 画像・文章・動画・音源・フォント | 著作権、素材ごとの利用条件 | 権利者、素材配布元、購入明細 |
| WordPressの名称・公式ロゴ | 商標 | WordPress Foundationの商標ポリシー |
| 有料商品の更新・サポート | 購入契約、利用規約 | 販売元の契約画面・規約 |
この表で重要なのは、GPLがWordPressサイト上のあらゆる素材へ自動的に広がるわけではないことです。たとえば、WordPress本体を改変できても、他人の写真を無断転載できる理由にはなりません。また、コードを利用できても、販売元の更新サービスを何人でも共有できるとは限りません。
WordPress本体のGPLで認められていること
WordPress.orgの公式ライセンス案内 では、WordPressソフトウェアはGPLv2またはそれ以降で提供されると説明されています。公式の理念ページは、プログラムを目的を問わず実行する、仕組みを調べて変更する、再配布する、変更版を配布するという四つの自由を示しています。
したがって、会社のサイトや広告収益を得るサイトへWordPressを使うこと、コアを調べること、自分の環境で変更することは、無料だからこっそり許されているのではなく、ライセンスが認める利用です。ただし、変更や再配布ではGPLの条件を守る必要があります。単に自分のサイトで使うことと、改変版を第三者へ配ることは分けて考えてください。
初心者が通常のブログを運営するだけなら、WordPress本体のソースコードを再配布する場面はほとんどありません。まずは「WordPressで商用サイトを作ってよいか」を心配し過ぎるより、自分が追加する画像や文章の利用根拠を確認する方が実務上は重要です。
GPLライセンスの利用例を4つで確認する
GPLの説明は、「WordPressというプログラムをどう扱うか」に置き換えると分かりやすくなります。まずは次の4例で、自分がしようとしていることに近いものを探してください。
| やりたいこと | GPLとの関係 | 初心者の確認ポイント |
|---|---|---|
| WordPressでお店や会社のサイトを作る | 目的を問わずプログラムを実行できる | 商用サイトだからWordPress本体の利用料が発生する、という意味ではありません |
| 自分のサイト用にコードを直す | 仕組みを調べ、必要に合わせて変更できる | 更新で上書きされない方法や、変更前へ戻せる準備は別に必要です |
| 変更したプログラムを第三者へ配る | 再配布できるが、GPLの条件を守る必要がある | ライセンス表示やソースコード提供など、配布時の条件を確認します |
| 他人の写真を記事へ載せる | WordPress本体のGPLだけでは許可されない | 写真の著作権と素材配布元の利用条件を別に確認します |
たとえば、自分のパン屋のサイトをWordPressで作り、予約ページに合わせて機能を調整することは、WordPress本体を目的に合わせて利用する例です。一方、そのページへ料理写真を載せる時は、GPLではなく写真の権利を確認します。「WordPress上で使うものは全部GPL」と考えないことが大切です。
また、自分のサイト内だけで使う変更と、変更したテーマやプラグインを商品として他の人へ渡すことでは、確認範囲が違います。再配布を予定している場合は、この記事だけで判断せず、配布物に含まれるコードと素材を整理し、公式ライセンス本文や専門家の案内を確認してください。
お店のサイトに使ったら、無料版を勝手に商売へ使ったことになると思っていました。WordPress本体は目的を問わず動かせると分かって、そこは少しほっとしました。
本体を使うことと、他人の作品を借りることを分けられたね。WordPressで商売をしてはいけないわけではないから、次はページへ載せるものを見ていこう。
でも、有料テーマを買った時に「1サイトまで」と書いてあった気がします。GPLなら何台でもよいのか、購入画面の約束を守るのか、また迷子になりそうです。
そこはコードの権利と、更新・サポートを受ける契約を分けよう。購入ページ、利用規約、テーマ内のLICENSEを並べれば、何が一サイト限定なのかを確認できるよ。
テーマ・プラグインはコードと同梱素材を分けて見る
WordPress.orgは、WordPressコードの派生物に当たるテーマやプラグインはGPLを継承するという立場を示しています。ただし、テーマのZIPファイルにはPHPコードだけでなく、写真、イラスト、フォント、JavaScriptライブラリ、デモデータなどが含まれることがあります。それぞれに別のライセンス表記が付く場合があります。
インストール前または購入前に、次の場所を確認します。
- 公式配布ページの「License」「利用規約」「よくある質問」を開く
- ZIP内のLICENSE、readme、assetsフォルダーの表記を見る
- デモ画像が本番利用できるか確認する
- Webフォントやアイコンのライセンス名を控える
- 更新、サポート、複数サイト利用の契約条件を確認する
「テーマを買ったからデモサイトの写真も自分のものになった」とは限りません。デモ画像がサンプル表示専用なら、自分で権利を持つ画像へ差し替えます。反対に、商用利用可能な同梱素材なら、許された範囲とクレジットの要否をメモして使えます。
画像・文章・スクリーンショットの著作権を確認する
インターネットで見つけた画像は、右クリックで保存できても自由素材ではありません。商品公式サイトの写真、SNS投稿、Google画像検索の結果、他ブログの図解を無断で転載しないでください。使える根拠は「自分で作った」「権利者から許可を得た」「素材サイトの条件を守った」「広告主・ASPから掲載用として提供された」など、後から説明できる形で残します。
引用として他人の文章や画像を使う場合も、単に出典リンクを付ければ何でも引用になるわけではありません。自分の説明が主で、引用部分が明確に区別され、必要な範囲に限られているかなど、引用の要件を確認します。判断が難しい画像は、無理に掲載せず、自作の図や許諾済み素材へ置き換える方が安全です。
WordPress管理画面やサービス画面のスクリーンショットは、操作説明に役立ちます。ただし、画面自体の利用ガイドラインに加え、メールアドレス、氏名、ドメイン、契約番号、APIキーなどが写っていないか確認してください。権利を守れていても個人情報を漏らせば別の問題になります。
テーマのデモを読み込んだら、きれいなカフェの写真まで入ってきました。このまま公開すると完成して見えますが、サンプル専用だったら怖いです。
自動で入ったから本番利用できるとは限らないんだ。販売元のデモインポート説明で画像の扱いを探し、書かれていなければ公開前に自分の写真へ替えよう。
一枚だけ利用条件が見つからず、せっかくの雰囲気が崩れるので残したくなっています。でも、分からないまま公開して後で連絡が来る方が、もっと困りますよね。
うん、確認できない一枚はいったん非公開にしよう。画像のファイル名と使われているページを控えてから差し替えれば、後で許可が確認できた時にも戻せるよ。
「WordPress」の名称と公式ロゴは商標として扱う
GPLはプログラムのライセンスであり、WordPressという名称や公式ロゴの使い方を決めるものではありません。 WordPress Foundationの商標ポリシー では、WordPressの名称・ロゴをプロジェクト、商品、サービス、ドメイン、会社名の一部として使う場合の条件が示されています。
一般の記事本文で「WordPressの使い方」と対象ソフトを説明することと、自分の商品名やドメイン名へWordPressを組み込み、公式サービスのように見せることは違います。事業名、教材名、サービス名、ドメイン名を決める時は、公式と誤認される表現を避けてください。公式ロゴを自社ロゴの一部へ組み込むのも別途確認が必要です。
名称を使えるか不明な場合は、似たサイトを根拠にせず、最新の商標ポリシーを読みます。すでに名前やURLへ使ってしまった場合は、隠すよりWordPress Foundationの案内する窓口へ相談し、必要な変更を確認します。
公開前に権利メモを1素材1行で作る
複雑な表を作る必要はありません。サイトへ追加した外部素材だけを、次の5項目で一行ずつ残します。
| 素材 | 入手先 | 許可範囲 | 必要な表示 | 確認日 |
|---|---|---|---|---|
| トップの写真 | 自分で撮影 | 自サイトで使用 | 人物が写る場合は同意確認 | 公開前日 |
| テーマ同梱アイコン | テーマ配布元 | 商用サイト可 | LICENSE表記に従う | 規約を読んだ日 |
| 商品バナー | ASPの提供素材 | 提携中の記事掲載 | 改変条件・PR表示を確認 | リンク取得日 |
ここへ実際のURL、ライセンス名、購入番号を追記して保管します。「無料素材」とだけ書かず、配布ページのURLと確認日を残すのがポイントです。素材サイトの規約が変わったり、配布ページが終了したりした時にも、当時どの条件を見たか追いやすくなります。
権利確認だけならサーバーの乗り換えは不要
すでにWordPressサイトを運営している人は、権利確認のためだけにサーバーを変更する必要はありません。先に画像、文章、テーマ、ロゴを点検してください。以下は、権利を確認した素材でこれから独自ドメインのWordPressサイトを新設する人だけが、運用先を比較するための候補です。
エックスサーバー
権利確認を済ませた素材で、独自ドメインのWordPressサイトを新設する人の候補です。
向いている人: WordPressの設置から運用まで公式マニュアルを見ながら進めたい人
利点: WordPress向けの導入機能とサポート情報を確認できます。
注意点: サーバーを契約しても、画像・文章・テーマの利用許諾が得られるわけではありません。権利確認は別に必要です。
料金: 契約期間やキャンペーンで変動します。申込画面の税込総額を確認してください。
エックスサーバーのWordPress開始条件を見る
ConoHa WING
独自ドメインとWordPressの開始手順を一つの管理画面で進めたい人の候補です。
向いている人: 料金タイプとWordPress導入方法を比較して新しいサイトを始めたい人
利点: WordPressかんたんセットアップなどの公式案内を確認できます。
注意点: 同梱テーマや自分で追加する素材の権利条件は、それぞれの配布元で確認してください。
料金: 料金タイプ、契約期間、キャンペーンで変動します。最新の支払総額を公式画面で確認してください。
ConoHa WINGのWordPress開始条件を見る広告・PRを含みます。サーバー契約は、WordPress本体や掲載素材のライセンス確認を代行するものではありません。料金と提供条件は各社公式ページで最新情報をご確認ください。
関連する確認
広告掲載とサーバー規約の違いは WordPressでアフィリエイトは禁止? で確認できます。有料・無料テーマの選択は 無料テーマと有料テーマの選び方 、子テーマへ変更を残す方法は 子テーマ編集前の確認 、不要画像を削除する前の判断は 未使用画像の確認手順 へ進んでください。
よくある質問
WordPressで作ったページの著作権はWordPress側のものですか?
自分で書いた文章や撮影した写真まで、WordPressを使っただけでWordPress側のものになるわけではありません。ただし、外部素材や共同制作者の成果物は別の条件があるため、作成者と契約を確認してください。
無料テーマなら画像も商用利用できますか?
無料か有料かだけでは判断できません。テーマのコード、同梱画像、デモ素材、フォントごとに配布元のライセンスと利用規約を確認します。
WordPressの公式ロゴを記事のアイキャッチに使えますか?
説明目的でも、公式と誤認させないことやブランドガイドラインの確認が必要です。ロゴの形や色を独自に変えたり、自社ロゴへ組み込んだりせず、最新の商標ポリシーを確認してください。
最初はGPLという言葉だけで、サイトの全部を判断しようとしていました。写真とロゴは別の確認だと分かったので、怖いものが少し小さくなった気がします。
一気に詳しくならなくても、確認先を間違えなくなったのが大きいよ。使いたいものを一つずつ見れば、自分で公開を止める場所も進める場所も選べるからね。
昔の記事に入れた画像は、どこから持ってきたか思い出せないものが残っています。そこは大丈夫なふりをせず、見つけた順に差し替えたいです。
それでいいよ。根拠が見つからない素材は一度外し、確認できたものだけ戻そう。分からないことを隠さず、小さく直していけば安心できるサイトになるよ。
まとめ
WordPress本体はGPLv2以降で提供され、目的を問わない利用、調査・改変、再配布などの自由があります。一方、テーマに同梱された画像、他人の文章、写真、フォント、WordPressの名称・公式ロゴには、著作権、個別ライセンス、商標ポリシーなど別の条件があります。
公開前に「誰が作ったか」「どこから入手したか」「どの条件で使えるか」「必要な表示は何か」「いつ確認したか」を素材ごとに残してください。条件が分からないものは、許可されたと推測せず、配布元へ確認するか自作・許諾済み素材へ差し替えるのが安全です。